これまでに、8軒の家と部屋で暮らしました。
最初の2軒は、記憶も写真もありません。
住所を調べることも一苦労です。
3軒目は取り壊されました。
建物も含めて、周辺丸ごと再開発されて
「おもかげ」みたいなものが一切ありません。
だから4軒目、いまお箸屋のために使っている一室は
父母の気配が感じられる唯一の場所になっています。
しかしながら、そこにいた頃は早く出て行きたかった。
だからなのか、8年も住んだところなのに
自分の場所という感じが持てないんですよね。
社会人になってから、ゆかりのある5軒の家のうち
2軒は跡形もありません。寄り添うように建っていましたが
家並もいっしょにすっかり変わりました。
人生が終盤に近づくというのは
多かれ少なかれ浦島太郎のような気分を
味わうことなのかもしれません。